ルールってなんだ? ~気候変動に関する国際的な取り組み~

12月2日より始まったCOP25。今回は、これまでの気候変動に関する国際的な取り組みの流れを解説しましょう。



残念ながら、「すでに温暖化による環境の変化は、回避を目指す段階にはありません。」最新のIPCC報告書の結論です。発生が避けられない被害をどこまで縮小できるかがポイントです。


でも、

・先進国がいくら環境にいいことをしたって、途上国がモクモクと二酸化炭素を排出してたら意味ないんじゃない?

・いままで散々先進国が環境を汚して発展してきて、いざ発展途上国の番だとなったら規制するなんてフェアじゃないよね。

・大事だとは思うけど、とりあえず、日々の仕事で忙しいからまた今度。。。


こういう風に、環境の規制は「自分だけがやると経済的に損をする」「全員でやらなければならない」「やらなくても、明日に何かが変わるわけではない」から難しいです。

地球の代替品がないことは分かってはいるのに・・・


これも、集団的意思決定の問題です。今回は、その難しい課題への人類の取り組みの概要をまとめます。


グレタ・トゥーンべリさんが、飛行機に乗らず、船で向かった、現在開催中のCOP25。

そして、その礎となるIPCC(気候変動に関する政府間パネル)。

今日は、このあたりの背景を論じます。


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<出発点となる「成長の限界」1972年>


地球温暖化は、1972年に民間シンクタンクのローマクラブが「成長の限界」として世に出し、知られるところとなりました。しかし、世界の市民に訴えることはできてたのですが、各国政府を行動させることは困難でした。

当初は、太陽の活動周期などを理由に温室効果ガスが原因かは議論の分かれるところでした。



<実態を探るIPCC 1988年~>


しかし、1988年に、国連環境計画(UNEP)らにより、世界中の気候変動の専門家の知見を集めるIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が創設され、次第に温暖化の実態が明らかになっていきます。


5~6年ごとに発表される、科学的知見に基づいた報告書により、IPCC最新の2013年の第5次評価報告書では、温暖化は95%の確率で温室効果ガスの影響であるとされています。

このようにIPCCは、世界の科学者が参加し、最新の知見を公表、科学的根拠を提供しています。


<本格的な国際議論 COP 1995年~>


そして、その国際議論の場として用意されているのがCOP(気候変動枠組条約の締約国会議)です。COPが採択するのも、初期は、「みんなで頑張ろう」という、法的拘束力を持たない目標設定でした。


大きな進歩は、1997年。3回目のCOP3で、「京都議定書」が採択されました。これは、初めて環境分野で法的拘束力を持った条約でした。EUと先進国を中心に、2012年までにCO2排出量を5%下げることを義務化したのです。


ですが、ここから足踏みが始まります。

「そもそも、中国・インドに削減義務が課されていないなど、効果が薄いではないか」

と、最大の排出国のアメリカが不参加を表明。


各国個別の状況を考えずに、目標を横並びに立てた目標設定に不満が噴出。2012年までにカナダが離脱。2013年以降の更新時には、ロシアと議長国だった日本も不参加を表明しました。


ただ、この背景としては、2010年のCOP16で、先進国だけでなく新興国を含んだ共通の枠組みとして、米中途上国を含めた「カンクン合意」が採択されたこともありました。この合意は、削減目標の合意で努力目標の域を出ないため、実効性はありませんが、主要国は一部の国だけでやる京都議定書より、すべての国で話し合うカンクン合意を重視したわけです。


<法的拘束力をもつ「パリ協定」2015年>


そこから5年、2015年末にCOP21で「パリ協定」が採択されました。


これは、187の国と地域が「法的拘束力」の元で合意した、待望の条約です。

・産業革命以前を基準に、平均気温の上昇を2度(できれば1.5度)以下に抑える

・今世紀後半に温室効果ガスの排出を実質ゼロにする(森林の吸収量とのバランスは考慮)


各国に対しては

・自主的な削減目標を国連に出すこと

・達成のため、削減に向けた国内の対策を取ること

を義務づけ、5年ごとに達成状況を報告することになっています。


日本の目標は、2030年度の温室効果ガス排出を、2013年度の水準から26%削減する事です。


ただし、これが達成できたとしても、気温上昇が少ないシナリオを目指す道が拓けるだけで、気候変動の自然環境や生態系への影響は少なからず発生します。


<米国の「パリ協定」離脱宣言2019年11月>


さて、ここに来ても、やはりトランプ大統領がかかわってきます。


米国が、パリ協定を離脱すると先月11月4日に宣言しました。2020年11月に離脱が完了することになります。


トランプ大統領は石炭産業などを意識し、就任前から協定からの離脱を公約に掲げていました。先日は、支持者を前に演説し「私は、一方的で金がかかり、恐ろしいパリ協定からの離脱を発表した」と述べました。


一つポイントは、離脱完了日までの間に大統領選挙があることです。


野党民主党は厳しく批判し、バイデン前副大統領は「気候変動の危機的な状況が日々悪化しているのに、トランプ大統領は科学を放棄し、国際社会でのアメリカの指導力も放棄し続けている。恥ずべきことだ」と非難しました。温暖化対策も今後、重要な争点になります。


離脱の通告を受けてアメリカは協定の規定により1年後の来年11月4日に離脱することになりましたが、大統領選挙の結果によっては、次期大統領が白紙撤回する可能性もあります。


対策状況については、残念ながらトランプ大統領が積極的でないため、現在米国としては対策をほぼ取っていない(個々の企業が独自に実施している)状況にあります。


さて、今回のCOP25、どのような事が話し合われるのでしょう。


今回は本来、パリ協定の実施の指針を完成させるのが目的です。

加えて、予定外のこととして、京都議定書のように米国が抜けて形骸化しないため、米国を脱炭素の枠組みに留めるための妥協点探しも行われそうです。アメリカで生産される環境負荷が比較的少ない、シェールガスでクリーンな世界を目指すという戦略との妥協点を見出そうとするのかもしれません。


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オシンテックのテーマは、集団的意思決定の質を少しでも向上させることです。

集団的意思決定というのは、難しい問題ですが、一人一人が良く知ることによって行動の質を変えていくのが近道な気もしています。

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