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ルールってなんだ? : 何故トヨタは特許の無償開放を?


2019年4月3日にすごいニュースが飛び込んできました。

トヨタ自動車が強みの源泉だったハイブリッド特許技術を無償開放するというのです。

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1904/03/news113.html



なんでこんな手を打ったのでしょう?

実はそこには、世界での利益争奪戦、中でもルール形成への戦略が読み取れます。


「ハイブリッド」は日本でエコカーの代表選手のように受け止められていますが、世界標準ではありません。


今、世界でエコカーとしての認定規格を争っているのは主に3種類。


1.日本車に代表される、ハイブリッド。

  ガソリンを使用したエンジンからも、モーターからも、車を走らせることができます。

  匠の技で、エンジンとモーターの出力の最適化をしています。


2.欧米車に代表される、レンジエクステンダー。

  ガソリンは発電のために使われ、その電気を使ったモーターで走ります。

  匠の技は不要で、航続距離を延ばすことができます。


3.電気モーター車

  エンジンは積まず、プラグで充電するのみ。電気だけなのでもっとも単純です。



この勝負、今のところ、かなり優位に立っているのは 2.レンジエクステンダーと3.電気モーター車です。この二つ、充電の仕方は異なるものの、どちらも「モーターを唯一の動力源とする車」です。


現在の規制の主流は、この「モーターを唯一の動力源とする車」ということになっており、日本型のハイブリッドがその基準に漏れているのです。


こうして多くの国で、エコカー=「モーターを唯一の動力源とする車」、ということになる(つまりそういう規制ができると)レンジエクステンダーや電気モーター車は助成金対象になって購入者は安くその車を買うことができ、ハイブリッド車は購入メリットがないばかりか、場合によっては環境を汚染する車として余分に税金を払うことにもなりかねません。


自動車会社は互いの競争の他に、じつは規制を相手した戦略を展開しています。


エコカー分野ではハイブリッド車の開発で一日の長があった日本メーカー。海外勢は独自の技術のみならず、規制分野でも戦いを挑んでいるのです。


精神としては、規制は、テクノロジーに対して中立でなければなりません。

じゃあ、「中立」って、何でしょう?そこには、色々な解釈が成り立ってしまう現実があります。


ビジネスパーソンに「自社に有利なように規制を設定したい」と考える人がいるのは当然でしょう。



今回のトヨタの思い切った戦略を私なりに解説すると・・・

技術を無償提供することによって、例えば中国メーカーが、トヨタのハイブリッド技術を使った車を作ったとします。そうすれば、トヨタ式のハイブリッド車は規制の上でも中国市場で受け入れられ続けるでしょう。みすみす他社に売り上げを明け渡すような行為ではありますが、その期間を利用して、トヨタはその時には一歩進んだ研究開発をし、次なる自動車を世に送り出すことができる。すなわち、トヨタの作った土俵で戦い続けることができるわけです。


これは、上で解説したように、「規制」で締め出されようとしていたハイブリッド技術を存続させ、競争優位を保つ戦略として捉えることも出来ます。世界のルール作りにおいて、それほどまでにトヨタが追い詰められているという認識でしたが、その上で、今回のオープン化はトヨタにとって、社会的名声も得られる起死回生の素晴らしい戦略であるという見方もできるのではないかと思います。



効果的な世界のルール形成に関心のある方は、OSINTechまでご連絡、お待ちしています!



<参考>

ドイツ:2030年までに内燃エンジン新車の販売禁止。

イギリス:2040年までに国内でのガソリン車、ディーゼル車の販売禁止。

フランス:2040年までに国内でのガソリン車、ディーゼル車の販売禁止。

オランダ:2025年以降、ガソリン車とディーゼル車の販売禁止。

ノルウェー:2025年までにZEV(zero emission vehicle=無公害車)の販売100%の政府目標。

米国・カリフォルニア州:一定比率以上のZEV販売を義務付ける規制。

バルセロナ(スペイン)、バンクーバ(カナダ)、コペンハーゲン(デンマーク)、などの都市:2030年までにガソリン車とディーゼル車の販売禁止。

インド:2030年からEV(電気自動車)とHV(ハイブリッド車)のみを販売。